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「番外編・I Love My Country」

 文・佐藤 亜紀

I Love My Country (アイ ラブ マイ カントリー)

 

人は誰でも皆、自分の国を、祖国を愛している、と言います。 私は今、自分の祖国のことを考えています。 私の国はどこなのでしょうか? 私は日本で生まれました。 だから私の国は日本なのでしょうか。 私は今、アメリカに住んでいます。 だから、私の国はアメリカなのでしょうか。 50万年位昔、私達の祖先である人類が、アフリカに誕生しました。 彼女の名はルーシー。 だから私の国はアフリカのどこかなのでしょうか。 では、ヨーロッパの国々は、ロシアは、中国や韓国、インド、アジアの国々、南米や オーストラリアは、そして、中東の国々はどうなのでしょう。 私はそのすべてが私の国だと思っています。 なぜなら、私の祖国はこの地球であり、生命を生んだ宇宙だからです。 もしも、すべての人々が、自分の祖国はこの地球であると考えるなら戦争はなくなる でしょう。 しかし、たくさんの人々が「私の国、アメリカは強いんだ」とか「イスラエルは私の国だ」とか「アラブの国こそ私の祖国だ」と考えるなら、戦争は決して終らないでし ょう。

 

かつて、60年前、日本の軍隊は「神の国である日本こそ世界で一番強い」と思って いました。 そして、中国、韓国、アジアの国々へ進出し、絶望的な太平洋戦争に突入しました。 その結果は、誰もが知っているとおりです。

 

先日、ニューヨークのワールドトレードセンターとワシントンの米国防総省が攻撃さ れ、たくさんの人々が犠牲になる、たいへん悲しい事件が起きました。 私もニューヨークでそれを目撃しました。 アメリカの、しかもニューヨークとワシントンで起きた事ですから、世界中で報道さ れ、テレビや新聞でそれを知った人々は、大きな衝撃を受けました。しかし、世界中 で報道されなくても、私がこれを書いている、たった今、この瞬間にも、アフリカや 中東、南米などで、たくさんの人々が、飢えや渇きや、戦争などで亡くなっているの です。

 

私は今「 I Love My Country 」が合言葉の様になっているアメリカを、とても心配 しています。

 

「右の頬を打たれたら、左の頬を出せ」という言葉があります。 私は左の頬の意味は愛であると思います。

 

この世界が愛に満ちて、同じ地球という祖国の兄弟同志が戦い殺し合うことのない様、 世界の平和を祈っています。   

 

佐藤亜紀

2001年9月20日

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